【株式会社北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿氏 インタビュー】経営者がもつべき「思考のアルゴリズム」〜売上を下げ、利益を上げる経営者に聞いた合理的な経営の本質とは〜 #1 びっくりするほどいい商品ができないかぎり商品化しない

自社開発の化粧品や健康食品のEC事業を手掛ける「北の達人コーポレーション」。2000年の創業以来、北海道の豊かな資源を活用して、徹底した顧客満足を追求するビジネスモデルで成長。『北の快適工房』ブランドで躍進を続け、東証プライム上場企業へと上り詰めたネット通販ベンチャーです。今回、同社代表取締役社長の木下勝寿氏にインタビューを依頼、その成長の秘訣となる、経営や商品開発、マーケティングや評価制度等、経営者が知るべき要諦について語っていただきました。

「生活の悩みが解消した」という反響を聞いて、新たな喜びを知った

――まずは御社の事業内容を教えてください。

当社は自社オリジナルブランド『北の快適工房』を展開し、健康美容商品等をインターネットで販売するEコマース事業を行っています。自社がメーカーとなり開発から製造・販売までを行い、いわゆるD2Cの形でお客様が長く買ってくださることを大切にする定期購入型のビジネスモデルです。

――もともと地元北海道の特産品を販売していたのを、健康食品や化粧品にピボットした
のはなぜだったのですか?

北海道の特産品の一環として、テンサイという砂糖の原料となる植物から抽出した「オリゴ糖」を扱っていたのですが、購入いただいたお客様から意外な反応があったのです。「20年来の便秘が治った」「体の調子が良くなり生活が一変した」という多くの感謝の言葉をもらって、本当にうれしかったんです。それまでの特産品も「美味しかった」という声をいただいて喜ばしい気持ちはありましたが、「生活の悩みが解消した」という反響を聞くことは、販売する側の私たちの喜びも段違いに大きなものでした。

世の中の多くの人に心から喜んでもらえることが分かり、もっと健康食品を扱っていきたいと考えたのですが、一方で、世の中の健康食品で自信をもっておすすめできる商品が思いのほか少ないことが分かり…。だったら自分たちでそれを作ってしまおうと考えたのが始まりだったのです。

そして、本当に良いものができたら発売しよう、逆に言えば、「びっくりするほど良い商品ができないかぎりは商品化しない」というルールを作り、ブランドを立ち上げることにしました。当初、商品開発はいわば副業でしたから、上手くいかないならそれでもいい。本当に良いものができたら売るし、できなかったら売らないというスタンスで、最初は2~3年に1個ずつ開発していたのが、次第に数が増えていったということなんです。

商品と市場との壁打ちをとにかく徹底的に繰り返す

――そして現在、東証プライム上場・年商100億の企業となられましたが、御社の成長を支えた強みはどこにあるとお考えですか。

いくつか要素はあると思いますが、中でも大きく3つの柱が挙げられると思います。自社による商品開発とマーケティング、そして経営における管理会計ですね。

――1つずつ教えていただきたいのですが。まずは商品開発について、たとえば経営者である木下代表はどの程度、どのように商品開発に携わっておられるのですか?

商品には企画と開発の段階がありますが、私は開発についてはタッチしておらず、副社長に任せています。逆に、どのような商品を創っていくか? という企画のほうは私が積極的に入っています。

と言っても、最初は単なる“空想”からです。「こんなものがあったら面白いんじゃないか?」と思い描いたあと、一般ユーザーに向けてアンケートを取っていきます。「実際にこんな商品ができたら使いたいですか?」「もしそうなら価格は?」といった問いかけを行っていき、答えによってある程度の市場規模が見えてきて、実際にビジネスとして成り立つかどうかを検討して、いけそうと思うものだけを企画していくという流れです。

最初はいわば机上の空論で、具体的に検討していくなかでボツになるものが大半ですし、、試行錯誤を重ねながら3~4年かけて商品化していくものも少なくありませんね。

――商品化に向けた企画の練り上げは、どのようなプロセスで進めるのですか?

企画の素地の段階で社員から提案があります。ただ、最初は中身もずいぶん粗削りなんですよ。たとえば、「こんな成分があるからいいと思います」と言ってくる。でも消費者からすると成分を買いたいわけではなくて、それを摂ることでどうなるのかが重要なわけですよね。

社員に、「じゃあ、その成分は何に効くの?」「ほかの○○と比べてどこが優れているの?」「分からないなら、それをもっと深く調べようよ」といったやり取りを通して、ユーザー目線での商品にどんどん変えていくわけです。仮想の市場における検討や、商品と市場との壁打ちをとにかく徹底的に繰り返す。その上で本当に良いモノになったときだけリリースするということなのです。

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■ 木下 勝寿(きのした・かつひさ)
1968年神戸生まれ。大学在学中に学生企業を経験し、卒業後は株式会社リクルートで勤務。その後、独立するも、事業に失敗しフリーターに。無一文の中、「次は絶対に顧客満足にこだわったビジネスを行うこと」、「日本を代表する企業を創ること」を胸に再起を誓う。必ず成功するためにどこでビジネスを行うべきかを徹底調査した結果、北海道が日本で最も可能性を秘めた土地であるという判断をし、北海道へ移住。コネもツテも一切無い状況から事業を起こし、たった一代にして東証プライム上場企業にまで押し上げた。そんな功績を持ちながらも、「社長との距離感の近さが会社の魅力!」と言われるほど、社員からの信頼も絶大。

■著書
・「売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密」(2021年、ダイヤモンド社)
・「ファンダメンタルズ×テクニカルマーケティング──Webマーケティングの成果を最大化する83の方法」(2022年、実業之日本社)
・「時間最短化、成果最大化の法則─1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム」(2022年、ダイヤモンド社)

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oneplus編集部

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  • 【株式会社北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿氏 インタビュー】経営者がもつべき「思考のアルゴリズム」〜売上を下げ、利益を上げる経営者に聞いた合理的経営の本質とは〜 #2 原理原則は、持っている・稼いだ以上にお金を使わないこと

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